0018 号 巻頭言

Ruby の会のビジョン

Rubyist Magazine 第 18 号をお届けする。

今号は、知る人ぞ知る古参 Rubyist の立石さんをお迎えしての 「Rubyist Hotlinks」、 SDLをRubyから使ってゲームを作成する 「Ruby/SDLで始めるゲームプログラミング【前編】」 、いざという時に使えて便利な圧縮ライブラリ zlib の基本を紹介する 「標準添付ライブラリ紹介 【第 11 回】」 、昔は「問題外」とかゆってた C++ を、開発者本人にあって懐柔されたのかかなり好意的に紹介する 「Rubyist のための他言語探訪 【第 11 回】 」 、今回はモバイル通信兵さんが Rails と XML-DB の連携を紹介する 「RubyOnRails を使ってみる 【第 9 回】」 、さらに「RubyNews」に「RubyEventCheck」と、 いつものように盛りだくさんの内容になっている。


各種イベント常連参加者の間では「『週末』は限りある貴重な資源」と言われて久しいが、 今年の 3 月 17 日も例外ではない。 関東だけでも OSC 2007 Tokyo/Spring『ワークスタイル×ブログ』、関西では Rails 勉強会@関西が、九州では Rubyist 九州の例会が開催される (勉強会と例会については今号の RubyEventCheck でも紹介しているので参考にしていただきたい)。 所詮イベントなどは一部特定地域住民だけの出来事だと言われればそれまでであるにせよ、 近郊に住んでいるものにとってはよい機会として役立っている。

OSC と言えば、昨年秋の OSC 2006 Tokyo/Fall では Ruby の会のセッション枠をいただき、 Ruby の会のことについて話をした。 わざわざお越しいただいた方には改めてお礼を述べたい。 内容はといえば、既報 (http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061028/252056/http://www.taifu.jp/rubyist/osc2006fall/html/osc2006fall.html) の通り、Ruby の会の運営についてだった。

とはいえ、あれから半年近く過ぎたが、実のところあまり改善への動きはできていない。 今にして思えば、あのときに話の方向が会の組織形態の話になって しまい、会としての活動をどうするか、 という方向で話を進めることができなかったのはあまり好ましくなかったかもしれない。 とはいえ、進みが芳しくないのはそのような事情とはあまり関係なく、単に私の力が足りていないせいである。

現状の問題点としてまず挙げられることは、会員の数は増えていても、 積極的に活動する形ができていないことである。 前回の OSC ではこれを「旗振り役」の問題と考えていた。 つまり、人がいても動けないのは誰が何をするべきかということをまとめ、 指示を出すような役割の人がいないためで、 このような役割を置けばそれなりに動けるのではないかと考えていた。

実際にこのようなやり方でうまく動くこともある。 例えば RubyKaigi の開催やリファレンスマニュアルの整備、 あるいは各種のイベントの参加などについては、 今のところ誰かが手を挙げてくれていたり、 あるいは私自身も動くなどをしてこなしてきた。 しかしながら、誰も手を挙げられない部分については、 そのままになっていた。 つまり、去年の秋から対応は停滞したままで解決に向かっていない。

この手詰まりな状態を解決するためには、 何かしらシステム的に解決できないかという考えもあった。 しかし、システムを導入するにも人手がいるわけで、 ある意味、鶏と卵の問題になってしまっている。

しかしながら、最近では別の考え方をするようになった。 そもそも、誰かを指示出し係に据え、 個々人が指示を受けなければ動けない状況そのものに問題があるのではないか。 各自が自発的に動けるような形を作らなければ、 いつまでたっても Ruby の会は活発にならないのではないか。

そこで思い当たったのは 『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』に書かれていた 「ビジョン」のことである。 この本では、プロジェクトマネジメントにおける「ビジョン」の重要性や、 どのようなビジョンがよいビジョンなのか、 そしてビジョンをどう生かせばよいのかについて、まるまる一章を割いて書かれている。 ここで言う「ビジョン」というのは、 個別の活動目標を全体として包括しながら、 しかし簡潔な形にまとめられているという、 まさにプロジェクトのビジョンと呼べるものを指す。 Ruby の会であれば、究極的には 「Ruby の会の活動により、今後○○までに○○が○○になり、 ○○な人々が○○できるようになる」といったようなコミットメントになるか、 あるいはもうちょっと詳細に箇条書きでまとめたような文章を作るようなイメージである。

Ruby の会の活動目的は、会則に書いた通り、 Ruby の開発者、利用者の支援である。 これはこれで明確だが、この目的の文言だけでは、会員が自発的に活動を行う際の指針としては弱い。 もっと具体的な目標があれば、そこから実際の活動をどうするかを、 各人で考え、実行することもできるだろう (もちろん会員の全員、または多くが自発的に活動を積極的に 行うようになる、というのは容易には実現し難いだろう。しかしながら、 このようなビジョンがあれば、消極的にではあれ活発になる、 というご利益は期待できる)。 さらに、活動のビジョンと目標を考えることは、 会員が会の活動を考えるためのきっかけとなり、意識を高める上でも役立つだろう。

つまり、Ruby の会に足りなかったものは、 Ruby の会のビジョンだったのではないだろうか。

そのような考えのもと、現在、Ruby の会で、 理事同士で集まる会と会員同士で集まる会を行いたいと考えている。 とりあえず理事の会合は近日中に行いたいとして、 会員の会合はどうするかはまだ考えていない。場合によっては 今考えている形とはまったくかけ離れたことになるかもしれないが、 RubyKaigi までに何かしらのアクションを行いたい。

(るびま編集長 高橋征義)

更新日時:2007/02/28 15:53:13
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参照:[Rubyist Magazine 0018 号] [各号目次] [prep-0018]