著者: 日本 Ruby の会有志
去る 2004 年 10 月 22, 23 日に、大阪産業創造館にて行われた関西オープン ソース 2004 に日本 Ruby の会も参加し、ブース展示および「日本 Ruby の会発足 紹介 Hiki 紹介他」と題したセミナーを行いました。
22, 23 日の両日に渡り、ブースでは Ruby 活用事例集や Ruby 関連書籍の紹 介などの展示のほか、Installer for Windows 他を収載したお持ち帰り用 CD-ROM を配布し、好評を博しました。
ブースの様子
ブースを訪れてくださった方の多くは Ruby に対して高い関心を持っておられ たようで、ブース担当者とつっこんだ会話が交わされる場面も頻繁に見受けられ ました。
23 日 13:30-15:30 には、中村 (う) さん司会の元、「日本 Ruby の会発 足紹介 Hiki 紹介他」と題したセミナーを行い、立ち見が出るほどの聴衆を集 めました。
満員の会場
まつもとさんも Skype 経由で参加 (Matz 日記) してくださり、「ruby の次期安定バージョンである 1.8.2 をクリスマスには出したい」とのお言葉を頂きました。
高橋さんからは、「日本 Ruby の会」発足の経緯および目的、そして 「Rubyist Magazine」についての発表がありました。
るびま発刊秘話
「日本 Ruby の会」目的としては、「利用者の支援」と「ruby 本体とその ライブラリの開発者の支援」を挙げ、「非営利組織の目的は人を育てるのが重 要な機能」というドラッカーの言葉を引用し、「Ruby の会に関わった人が育っ ていくような会にしたい」と、抱負を語っておられました。
今後の活動目標としては、適当なイベントへの参加、日本 Ruby Conference の開催、コミュニティの外の人向けのセミナーやシンポジウムなどの開催、 Web 雑誌ならではの記事を掲載する場としての Rubyist Magazine 継続を挙げ、 Rubyist Magazine については「紙の雑誌では掲載できないような、制約のな い、必ずしも万人向けでない濃い内容」という編集方針を述べられました。
ささださんからは 2004/10/01-10/03 に Washington D.C. で行なわれた Ruby Conference の参加レポートがありました。
このレポートの詳細は Rubyist Magazine 第 2 号に掲載 しています。
高橋さんとささださん
発表中には Ruby Conference 主催者の一人、David A. Black のメッセージが流され、また、ささださんと一緒に Ruby Conference に参加していた高橋さん、荻野さんからも一言ずつ感想を頂きました。
Ruby で書かれた Wiki エンジンである Hiki が かずひこさんから紹介されました。
Hiki の特徴として、シンプルな文法・tDiary 互換テーマ・プラグインによる拡 張性・ページのカテゴリ付け・Amrita の利用、などが挙げられました。現在 200 を越えるサイトが Hiki が運用されているとのことです。 まつもとさんやかずひこさん、前田さんらが勤務されている (株) ネットワーク応用通信研究所内でも 使われているそうです。
最近の話題としては、今年 2004 年 6 月と 7 月に発見されたセキュリティホールと その対応、プロジェクト管理者の竹内さんの多忙、かずひこさんのプロジェク ト管理者就任が挙げられました。最近の成果としてはプラグインの修正、 mod_ruby 対応、TrackBack 対応などが挙げられました。
かずひこさん
Hiki の今後の展開としては、使うのが簡単、便利な機能は取り入れるといった方 向性を考えて「『硬派なコード』と『軟派なコンセプト』」を目指し、ブラウ ザからのプラグイン設定、Wikifarm でのノード独立なプラグイン設定、高速 化などを行っていきたいと述べられ、また、Rubyist にうけるプロジェクトで あるためにはコード自体は硬派なものでなければならないとして、コードのオー バーホールが必要であるとの見解も示されました。
Rubyist にうければ開発が勝手に進み、他にうければ思いもよらない使い道や 新しいアイディアをもらえるということで、開発者だけでなく、使う人・使わ せる人を募集ということで話を締め括られました。
前田さんからは mod_ruby の紹介がありました。
本題に入る前に、プレゼンテーション資料をどうするかという話がありました。 昔使っていた Magic Point を忘れてしまったためというところから、結局 RD から OpenOffice.org の .sxi ファイルを生成するツールを作成するに至っ た経緯と、RD 及び RDtool の紹介がありました。
前田さん
本題ではまず mod_ruby の説明から始まり、Apache への Ruby の組み込みで あり、リクエスト毎に fork しないことによる高速化等のメリットと、一つの インタプリタを共有することによるデメリットが述べられました。
CGI、FastCGI、WEBrick など、他の外部プログラム実行機構と mod_ruby と を比較の後、Apache のハンドラとして Ruby コードを利用できるという mod_ruby の特徴を述べ、例として WebDAV と Ruby ハンドラによるアップロー ドした画像の自動サムネイル生成のデモが行なわれました。
再び高橋さんによる発表で、 最近の Ruby 周辺の話題が紹介されました。
まず最初に、言語そのものよりもアプリケーションやライブラリ、他のプログ ラミング言語への影響といった周辺の話題の方が盛り上がっているようだとの 観測が述べられました。
以下は取り上げられた話題の一覧です。
高橋さんの発表終了後、会場で集められた質問をもとにまつもとさんとの質疑 応答が行なわれました。
セミナーは硬軟とりまぜ様々なトピックが飛び交いましたが、そんな中でも笑 いの絶えない和やかな雰囲気がつづき、途中で立席される方もほとんどありま せんでした。
今回のようなイベントは、活動を世間に発表する場であるばかりでなく、普段 顔をあわせることがない少ないわたしたちの交流の場でもあります。
今回参加できなかった皆さんも、イベントカレンダーをチェックして、機会が あれば Rubyist 達と直接交流してみませんか?
名称 | 関西オープンソース 2004 |
会期 | 2004 年 10 月 22 日 (金) 〜 23 日 (土) |
会場 | 大阪産業創造館 (大阪市中央区本町) |
主催 | 関西オープンフォーラム 2004 実行委員会、ソフト産業プラザ イメディオ |
同時開催 | 関西コミュニティ大決戦、BSD Conference Japan 2004 |