書いた人:けんご
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去る 2005 年 7 月 9 日 (土)、京都女子大学 S 校舎にて第 4 回 Ruby 勉強会@関西が開催されました。当日のプログラムは、バイオインフォマティクス関連が二つと、Ruby 初級者向けレッスンが一つ、の計三つ (合計約 4 時間) でした。
当日はあいにくの雨模様となってしまいましたが、勉強会の時間帯の前後では雨脚が弱まってくれたのは幸運でした。
今回は総勢 53 名もの Rubyist たちが参加されました。うち学生の方は約 25% (14 名)、女性の方も同じく約 25% (13 名) と、これまでになく老若男女のバラエティに富んだ勉強会となりました。
まず最初に、某バイオインフォマティクスセンターの河野さんの発表が行われました。
バイオインフォマティクス (Bioinfomatics) とは、バイオ (生物学) とインフォマティクス (情報科学) をつなげた呼び名で、「それぞれの手法を組み合わせて生物を理解する学問」(後藤さん) だそうです。この発表では、河野さんが実際に生物学の現場で Ruby を用いて情報科学的処理を行っている事例についてご紹介いただきました。 なおすべてを Ruby だけで処理しているわけではなく、内容に応じて他の処理系 (C など) を併用しているとのことで、その手順もデモしてくださいました。
お話の中では、バイオインフォマティクスの概要や、よくある分析事例についても解説していただきました。(この解説があったことで、続いての後藤さんの発表がよりわかりやすくなったような気がします)
幹事の小波先生 (京都女子大) のはからいで、校舎最上階のラウンジに通していただきました。北面がすべてガラス張りになっており、京都の緑を楽しむことができました。清水寺の五重の塔の突端も見えました。
二つ目の発表は、BioRuby の開発者のひとりである後藤さんによるものでした。BioRuby とは、バイオインフォマティクスに必要な機能や環境を Ruby で統合的に実装したライブラリで、2005 年度の IPA 未踏ソフトウェアにも採択されています。
オブジェクト指向と生物学の親和性のよさ、Ruby の開発効率の高さなど、バイオインフォマティクス分野での Ruby の有益性についてご説明いただきました。
BioRuby を他言語による同種ライブラリと比較すると、Perl 版よりも 20 倍以上も高速で、C 言語版よりも高機能かつ扱いが容易、という利点があることがわかったそうです。ただし、「言語により得意分野が異なるので、多言語が共存している」(後藤さん) とのことでした。
今後もリファクタリング、機能追加や、ドキュメントの整備などを予定されているそうです。BioRuby のさらなる発展に期待しています。
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関西出身で現在は島根県松江市在住のかずひこさんによる、初級者向けの Ruby レッスンが行われました。今回の課題は、「正規表現を用いて、Apache のログを解析するプログラムを作成する」というものでした。
端々にユーモアを挟み込んだかずひこさんの軽妙な語り口によって、レッスン時間は終始和やかな雰囲気に包まれました。
会場に用意されていた端末の一部で、Ruby 実行環境がうまく動かないという症状が発生したのですが、幹事の方がすぐに端末を共用できるように席替えを行ってくださいました (共用端末の周囲は、さながらペアプログラミングの様相を呈していました)。また、アシスタントに立候補された Ruby 熟練者の方々が教室中にちらばり、手順に行き詰ったような場合には懇切丁寧に指導してくださいました。
みなさんのこのような気転によって、一層楽しい講座になったのではないかと思います。
なおこのレッスンの配布資料および演習問題が、Ruby 勉強会@関西-4 メモで公開されています。添削コーナーも用意されているので、ぜひコードを書いて投稿されてみてはいかがでしょうか。
全プログラム終了後、参加者は京都女子大から徒歩 10 分ほどのレンタルルームに移動し、階下のコンビニで購入してきたお酒や肴とともに約 2 時間の宴が催されました。
約 40 名の参加者全員が次々に壇上に登って行われた自己紹介のコーナーでは、Ruby を中心にした様々な活動内容が語られました。勉強会にはいろいろな人たちが参加されているのだなあということを本当に実感できる、楽しいひとときでした。
この自己紹介では、「Ruby に興味はあったが、具体的に何をしようか迷っていたので、初級者レッスンはとてもありがたかった」という感想を述べる方が多くいらっしゃいました。このような好評を受けて、初級者レッスンは次回以降も継続して行われることになりました。勉強会において、深く掘り下げた話だけではなく、Ruby の世界への入り口も用意されるというのは、すばらしい試みだと思います。
次回の勉強会は、8 月 20 日に大阪で開催されることが内定しました。
定期的に開催されるこの勉強会では、普段なかなか直接顔を合わせる機会のない Rubyist たちが一堂に会して、Ruby の新たな側面に触れたり親睦を深めることができます。 今回は参加できなかった皆さんも、機会があえばぜひ参加してみませんか?
(株) ネットワーク応用通信研究所に勤務。一番利用している Ruby 関連技術は Hiki。バンド歴は 20 年だが Ruby 歴は約半年。京都に住んでいた現在の奥さんとの初デートは大阪、祖母は神戸在住など、関西とはなんとなく縁があったりなかったり。