書いた人:櫻井 達生
この本は、「たのしい開発」や、Ruby の基礎、そして文化や思想、コミュニティなどについて書いています。今まで、Ruby の本は良書がたくさん出版されていますが、Ruby の文化や思想などについて書かれた本はなかなかなかったのではないでしょうか。これから Ruby を始める、Ruby の良さがピンと来ない、Ruby をもっと使いこなしたい、Ruby を周りに広めたいといった方々にオススメです。320 ページと割とページ数は多いのですが、読みやすい文章や内容になっているので、サラッと読んでいただけると思います。Ruby や Ruby の文化をすでに知っている方にも、まつもとさんと高橋会長に書いていただいたすばらしい前書きと、Chapter10『とある企業のRuby導入事例』の @ayumin さんのインタビューはぜひ御一読いただきたいと思います。
元々は 2009 年頃に、笹田さん、Yugui さんを通じて、大場夫妻へとお話がきたそうです。 そして、2010 年頃に五十嵐さんと私が join して、4 人で執筆をすることになりました。当初はもっとビジネス寄りの内容で、RubyKaigi2011 までに出すという予定もありました。しかし、執筆がなかなか進まなかったり、執筆開始当初よりも Ruby は広く利用されるようになっていたこともあり、想定読者や本の構成を練り直し、今の構成になりました。
私はもともと Ruby は名前しか知らず、Ruby がやりたくて Ruby を始めたわけではありませんでした。よりよい環境、たのしい開発ができる環境を求め、万葉という会社に転職し、そこで Ruby と出会いました。その話は、本書の Chapter1『「たのしい開発」を求めて』として書いています。エッセイ(?)が書かれた Ruby の本は見たことがありませんでしたし、普通のプログラマである自分の話で良いのだろうかという葛藤や、もう少しあると思っていた自分の文才と戦いながら書くことになりました。書き上げることができたのは、チームで「たのしい執筆」ができたからだと思っています。
いつからか毎週水曜日は執筆 Day と決めて、みんなで集まって執筆をするようになりました。ペアで執筆をしたり、レビューとリファクタリングを繰り返し、チームで書いていきました。書き始めた当初、「個人ブログレベル」であった私の文章力は、おかげさまで少しずつ向上しました。まつもとさんや高橋さんから素敵な前書きをいただいたり、やもとさをんさんの素敵なイラストをいただいたりする度にチームのテンションが上がり、なんとか出版することができました。無事(?)に出版できて、本当によかったです。
2012 年 3 月 23 日に、司会をソニックガーデンの倉貫さん、『Ruby on Rails 3 で作る jpmobile によるモバイルサイト構築』の著者の小川さんと、『Ruby 公式資格教科書』の著者代表の増井さんと、池袋ジュンク堂にてトークセッションをやらせていただきました。
本書の執筆がなかなか進まず、本の発売前にトークセッションを行うという前代未聞の大物トーカーとなってしまいました><(ジュンク堂の長田さん、すみませんでした m(_ _)m ありがとうございました;x;)トークセッション後、なぜかサイン会に参加させてもらい、「櫻井さん、(本も無いのに)そこでなにしてるんですか?」と言われながら、サインや握手をさせてもらったのはとても良い思い出です^^;
本書は大場寧子監修となっています。本書での監修は全体に責任をもつという意味で、大場寧子さんを監修としました。実際にもっとも執筆量の多い著者が大場寧子さんです。「監修だから執筆してないの?」と言うと泣いちゃいます。
初心者向けに幅広い内容を説明した本なので、どこまで詳細に説明するか、バランスを考えることが一番難しかったと思います。執筆途中に Rails バージョンが派手にあがり、コードを書き直すのも地味に大変でした。
私が担当した中では、一番苦労したのは Chapter11『「たのしい開発」の答え』です。当初の構成で Chapter11 は存在していませんでしたし、まさか本全体を総括するまとめ、しかも「たのしい開発」の答えを自分が書くことになるとは思ってもいませんでした。(ジュンク堂のトークセッションに出ることも思ってもいなかったわけですが…)苦労した分、自分にも新しい発見がいろいろとあって、よかったのですが、Chapter11 は何度も何度も書き直しました。
一番貴重な体験は、高橋会長に文章の書き方など、様々なことを教えていただいたことです。あるとき、高橋会長が「Chapter1 について直接伝えたいことがある」と執筆会にきてくださいました。本書における Chapter1 の役割や、読み手との距離感、語り手の視点など、多くのことを直接教えていただきました。このときいただいた赤の入った原稿はいまも大切にとってあります。おかげさまでとても読みやすい文章になりました。
当初の予定であった RubyKaigi2011 には間に合いませんでしたが、TokyuRubyKaigi05 には間に合いました。
今回ページ数の都合で載せられなかった原稿があります。もともとページ数が足りないので、なにか書こうという話から、「駆け出しプログラマがやってみるとよいかもしれない n 個のこと(仮)」という Tips 集を書きました。この中から 3 つほど本書のコラムとして掲載されています。
私はどうも軽い文章が好きなようで、本書でまじめな文章を書いた反動もあってか非常にライトな内容になっています。せっかく書いたので、どこかに載せてもらえるとうれしいなあと思っています:)
この本を出したあとのフィードバックとして、本文に登場する「筆者」とはいったい誰なのか気になるという声がありました。(「スタートアップRuby」を読んだ - 準二級.jp)
以下、特別に各Chapterの主担当を書き出します。しかし、あくまで主担当であってどのChapterであっても4人の手が入ってないChapterはありません。そういう意味では「筆者」とは4人の総称を表しているといった感覚が近いのかなと思っています。
ありがたいことに、多くの方が書評を書いてくれています。本書を読んでみようか迷っている方や、一度読み終わった方にもオススメです。
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