RubyConf Taiwan 旅行記

書いた人 : hsbt

RubyConf Taiwan 旅行記

2012 年 12 月 7 〜 8 日の二日間にわたり台湾で RubyConf Taiwan が開催されたので参加してきました。なお今回はまつもとさん、笹田さん、松田さん、宮下さん、私という 5 名と LT に 6 名の合計 9 名がスピーカーとして日本から参加しました。

台湾ヘは羽田空港から松山空港への直行便が出ており、片道 3 時間くらいで到着することができます。日本からもっとも渡航しやすい外国と言っても過言ではないでしょう。なお費用は往復の飛行機運賃が 48,000 円、ホテル代は RubyConf が開催されるホテルの発表者用の部屋が 3 泊 15,000 円という合計 60,000 円ちょっとでした。松山空港から台北中心地へはタクシーを使っても 500 円と大変リーズナブルな交通費と滞在費で海外旅行を楽しむことが可能です。

RubyConf Taiwan が開催される Mellow Fields Hotel1は台北駅から北へ少し移動した中山北路沿いにあります。中山北路周辺は人通りも少なく静かな住宅街のため、台湾で有名な屋台や飲食店はあまり見当たりませんでしたが、セブンイレブンがすぐ見つかったりとカンファレンス開催期間中はとても過ごしやすい場所でした。

一日目

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RubyConf Taiwan 一日目はオーガナイザーである @ihower さんによるオープニングから始まりました。@ihower さんは「学習新知 拓展視野 朝拝大神 社群同楽」という漢詩を参加者の前に披露しました。なお、大神というのはまつもとさんの事です。正確な内容はわかりませんが、だいたいの意味はわかりますね。

セッションの 1 つ目は VMware の David Tian 氏による mozy という Rails で作られているサービスの内部の仕組みや継続的にサービスのバージョンアップを行うにあたって苦労した点などの事例の発表でした。二つ目のセッションは Matz 大神による札幌 Ruby 会議 2012 で話した「モチベーションこそが最も重要」であり、RubyWorld Conference 2012 で話した「あなた自身が世界を変えるのだ」であるという今年 1 年の間に世界各地で話した内容の総括のトークでした。RubyConf Taiwan に参加した人は世界を駆け巡らなくても全部の話を聞くことができて、とてもラッキーだと思いました。

その後の個別のセッションの紹介は省略しますが、ペアプログラミングがいかに大事かという話であったり、mruby の内部の仕組みについての話であったり、netzke という Ruby のクラスをグリッドコンポーネントである Ext JS のクラスへとコンバートするフレームワークの解説や concurrent な Ruby アプリケーションの性能比較と内部の仕組みの解説だったりと、いずれのトークも深い技術の話で大変面白かったです。

トークが続いた後は台湾のお菓子と珈琲を楽しむという休憩タイムがありました。この時のお菓子は台湾ではポピュラーなお菓子のようでしたが、日本人向けの甘さと味でとても美味しかったです。休憩後は @a_matsuda さんの Ruby 2.0 の新機能をアプリケーションプログラマがどう使うかという話でした。RubyConf 2012 の時と同じテーマでしたが、RubyConf 2012 の時よりも現実で遭遇しそうなケースが多数紹介されており、これも台湾から参加した人にはとても好評だったように見えました。
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この後は LT の時間が始まり、日本から参加した @kyanny さん、@kentaro さん、@tnmt さん、@yasulab さんが発表して、セッションは終了しました。セッションの後はオフィシャルパーティがカンファレンス会場から徒歩で 15 分ほどのバーで開催されるので、その前に Ruby Taiwan のメンバーと日本から参加した数名とで夕食を食べながら、台湾の Rubyist や Web アプリケーション開発の話などをしました。ちなみに Ruby Taiwan のメンバーだけではなく、台湾で Web 開発をしている人はだいたい英語が堪能で意思疎通にはほとんど困りませんでした。

夕食の後にオフィシャルパーティ会場に向かうと、すでに参加する人で溢れ返っていて、まつもとさんは一緒に写真を撮ろうと休み無く呼ばれたり、今日発表した人同士でコードを見せ合って、こういう便利なライブラリを作ってみたんだけどどうかな?という感じに中々ハックなオフィシャルパーティーでした。

二日目

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二日目の朝 1 つ目のセッションは Smalltalk の話でしたが、私は発表があるため会場には行かずに部屋で最後の練習をしていました。一段落してから、@_ko1 さんの発表を聞くために会場へ、@_ko1 さんも @a_matsuda さん同様に RubyConf でも話されていた Ruby 2.0 の新機能の発表でした。特に @_ko1 さんが精力的に作っている Ruby 本体の inspection に使うための新機能の中から「ObjectSpace を使って、メモリリークの原因となっているオブジェクトを探す方法」というのは明日からでも使えそうな機能なので大変参考になりました。

3 つ目は自分の発表でしたが、話そうと思っていたことを飛ばしてしまったというのと、初めての英語の発表ということで早口になってしまい、30 分の持ち時間のところを 18 分で終わってしまいました。もっと tDiary の内部の仕組みをコードを並べて解説しても良かったと思いますが、これが自分の今の実力ということで次回はもっとコードを並べて話せるように頑張ろうと思います

自分の発表の後はだいぶ放心状態だったのですが次のスピーカーである @gosukenator さんは勤務先である paperboy&co. が 2012 年に始めた Sqale の内部の仕組みの話でした。疲れもだいぶ回復してきたところで、他のスピーカーとそれぞれの発表内容について話しあったり、台湾の料理サイト icook.tw の開発リーダー @dlackty さんによる、DevOps の話や concurrent なプログラムについての解説セッションを聞いて過ごしました。二日目はプログラムでは台湾語で発表するとされていたセッションも海外ゲストが多いとのことで急遽英語に変更したりと、台湾の Rubyist のホスピタリティの高さを感じました。

なお、RubyConf Taiwan では発表終了後の質問タイムだけではなく、休憩時間の合間に笹田さんを始めとする発表者を取り囲んで議論を始めるなど、海外でよく見かけるカンファレンスの光景が広がっていました。カンファレンス終了後のアフターパーティーでは台湾料理のフルコースを食べながらセッションで DevOps の話をした @dlackty さんと日本と台湾の間のプログラミング文化の違いや学生が卒業した後にどのような企業に就職するか、スタートアップ企業のトレンドなどを話していました。なお、台湾では理工系の大学を卒業した後の就職先としては ASUS のようなデバイスメーカーが最も人気があるため、Web サービスの世界に中々学生は来ないそうです。
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以上が RubyConf Taiwan の全容となります。カンファレンスを通して感じたことは台湾の Rubyist が注目している技術やトレンドは日本人である私達が注目しているものとほとんど同じということです。台湾は写真のように料理も大変日本人向けでどれもとても美味しいだけではなく、ホテルも日本のホテルのようにしっかりしていて、滞在しやすい国というのは間違いないです。なお、次回の RubyConf Taiwan は 2014 年 4 月を予定とのことですので、皆さんも是非一緒に台湾に行きましょう!

著者について

柴田博志 (@hsbt): 株式会社 paperboy&co. 技術基盤チーム四天王の 1 人。ソフトウェア開発を上手くやるための方法に興味があり、社内全てのチームに何らかの形で関わってレガシーコードを直したり、開発のやり方のコーチをしたり、新しい技術を検証・導入したりしながら毎日を過ごしている。特技は tDiary のように歴史のあるソフトをモダンな環境に適応させること。


  1. なんとこのホテルは facebook にしかインターネット上にページがなく、facebook メッセージで予約確認などをしました