RubyConf 2013 参加レポート

RubyConf 2013 参加レポート

書いた人: @hokkai7go

RubyConf 2013 が 2013 年 11 月 8 〜 10 日の三日間にわたって、アメリカはフロリダ州マイアミで開催されました。
RubyConf は毎年アメリカで行われる世界中の Rubyist が集まる Conference で、2001年から続いています。
詳細は RubyConf のページ を参照してください。 個人的に一度は行ってみたいカンファレンスだと思っていたのでとても楽しみにして参加しました。
日本からは、自分の知っている範囲で まつもとさん、角谷さん、松田さん、中田さん、柴田さん、卜部さん、笹田さん、高橋さん、山根さん、中村さん、三村さん、関口さん、瀬尾さん、郡司さん、牧本さん、五十嵐さん、@sanematさん、自分の18名程度が参加していました。そうそうたるメンバーですね。アメリカ在住の小崎さんも参加されていたので、るびま編集部の面々がインタビューを行いました。
インタビュー記事は近日公開されると思いますので、楽しみにしていてくださいね!
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0日目(移動)

0日目はほとんど移動に時間を費やしました。
日本時間 11 月 7 日の 18 時ごろ成田を出て、アメリカ東部時間の 11 月 8 日 0 時 すぎにマイアミに着きました。
Twitter を見ていると、各々がアメリカの東海岸へ移動していく様が観測できて面白かったです。
自分は、成田 => サンノゼ => ヒューストン => マイアミ と二回も乗り継ぎをしながら移動しました。さすがに乗り継ぎが多いと体にこたえますね。

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1 日目

RubyConf 2013 は、マイアミビーチの Loews ホテルで開催されました。10 時からセッションが始まったのですが、 30 分前にはレジストレーションを済ませた人たちでごった返していました。

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Keynote - まつもとさん

まつもとさんの Keynote は Living in the Fantasy Land というタイトルで、おとぎの国に生きることと、世界を変えることが主題でした。
おとぎの国というのは、この 20 年で環境を安価に入手できるようになったことや、Social Coding がもたらした世界を指しています。
私達でこのおとぎの国を守るために、コードを書いていこう。世界を変えましょう。と締めくくり、会場からは大きな拍手が起こりました。
五十嵐さんのblog を併せて読むと、より詳細な内容を知ることができます。
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笹田さん

笹田さんは、Object management on Ruby 2.1 というタイトルで、Ruby 2.1 に導入しようとしている新しい Garbage Collection の仕組み “RGenGC” について説明されました。他にも、Ruby 2.1 には、Object 生成時などに利用できる hook が追加されたり、いくつか新機能も追加されるようです。2013 年 12 月 25 日に予定されているリリースが楽しみですね!

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1 日目その他

1 日目に聞いた他のセッションは以下のとおりです。

  • Mastering Elasticsearch With Ruby / Luca Bonmassar
  • Extreme Makeover: Rubygems Edition / André Arko
  • How To Roll Your Own Ops Framework In Ruby (If You Really Have To) / Sandy Vanderbleek


ランチが会場から提供されるのですが、三日間通してハンバーガーが提供されました。とてもボリュームたっぷりなのは言うまでもなく、サラダとポテトチップスと、りんごまるまる1つと、クッキーなどのお菓子が入っていました。なぜお昼にポテトチップスが出るのか不思議でたまりません。クッキーがとても大きかったです。クリックしたくなりますね。。

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2 日目

Keynote - PJ & Katie Hagerty さん

2 日目の Keynote は、My KidsRuby Journey から始まりました。親子漫談のようなとてもあったかい空気感だったのですが、子供の話す英語がとても難しかったです。RailsGirls や、KidsRuby など、私達の仕事を子どもたちなどに知ってもらえるイベントが増えていてとてもいいなと思いました。

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Pat Shaughnessy さん

この日一番印象に残ったセッションは、Pat Shaughnessy 氏の Visualizing Garbage Collection in Rubinius, JRuby and Ruby 2.0 という発表でした。 Pat さんはマッキンゼーで働いているGCマニアで、Ruby under a microscope という書籍の著者です。 allocate => identify => reclaim というGC の一連の動作を図とともに説明していました。

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また、MRI と Rubinius, JRuby での GC の違いについても触れていました。
このセッションで一番印象に残ったのは、質疑応答タイムでした。
いつの間にか質疑応答タイムが始まっていて、質問が出る度に発表者以外が答えていました。参加者のみなさんがいかにGCに興味があるかが伝わってきますね。

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2 日目 その他

2 日目に聞いたセッションは以下のとおりです。

  • Arrrr me hearty! Sailing the Seas of DRb in a Shoe / Davy Stevenson & Eric Hodel & Rein Henrichs
  • Advanced Concurrent Programming in Ruby / Jerry D’Antonio
  • The Big Picture / Jim Weirich
  • Ruby On Robots Using Artoo / Ron Evans

最後に、Lightning Talks(LT) セッションがありました。
LT の発表募集ボードが会場にあり、発表したい人が名前とタイトルを書いておくと、LT セッションで上から順番に呼ばれるシステムです。

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日本からの参加者も何人か LT で発表していました。特に、中村さん (@nari3) の、GC が Perfume のダンスに及ぼす影響についての発表は参加者にウケていました。
写真は、中村さん (@nari3) の投影した Perfume のダンスを主催者が見よう見まねで踊っている様子です

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3 日目

Keynote - Ernie Miller

3 日目の Keynote は、That’s Not Very Ruby of You から始まりました。 あなたたちは storyteller です。可読性を意識してコードを書きましょう。複雑にしすぎてはいけません。というのが発表の主旨だと理解しました。 英語のライティング基礎的なテキストである、「The Elements of Style」を紹介していました。The Elements of Style の日本語訳を公開しているサイトもあるので、参考にしてみるとよいかもしれません。

英語の聞き取りが難しかったので、より内容の理解できた RubyConf2013 参加者からのツッコミをお待ちしております…。

3 日目に特に印象に残ったのは、Opal, A new hope (for Ruby programmers) という発表でした。 スターウォーズパロディにあふれる発表だったので、強く印象に残ったという理由もありますが、Opal がとても有用そうに見えたのが一番の理由だと思います。 Opal は Ruby から JavaScript を生成するコンパイラです。opal-irb や opal-inspector を使ってすぐに試すこともできますし、opal-rails を使えば Rails との統合もできます。

初めての海外カンファレンスで思ったこと

マイアミは 11 月なのにジリジリくるような強い日差しがあり、半袖半ズボンで海を見られるような場所で、リゾート地だということを強く感じました。 ドキドキすることもありましたが、マイアミは良いところでした。 しかし自分の体調は悪く、渡航前から続いていた首や肩の痛みにずっと悩まされました。体調を整えて望めなかったことがとても悔やまれます。

英語力については、日常生活で困ることはあまりありませんでした。しかし、大きなホールで発表中の英語を聞くことの難しさに気が付きました。ネイティブ同士の会話だと、話すスピードも早いですからね。

滞在中は日本からの参加者同士で行動することが多々あるので、まつもとさんをはじめとしてあこがれの Rubyist と話すチャンスを数多くつくれると思います。ちょっとしたハプニングもありましたが、日本からの参加者のみなさんのおかげで楽しく過ごすことができました。 来年の RubyConf2014 は、サンディエゴで開催されるようです。西海岸なので、マイアミより行きやすそうですね。

参考 参加にかかる費用

  • 飛行機代 10万円くらい
  • RubyConf のチケット代 3万5000円くらい
  • ホテル代(4泊) 7万5000円弱
  • その他(食費や交通費など) 3万円くらい
  • 合計 24万円くらい

著者について

菅井祐太朗(@hokkai7go): 株式会社万葉 では Chef と呼ばれています。Vagrant や Chef が好きです。るびま編集部で地域 Ruby 会議レポートのとりまとめをしています。