0055 号 巻頭言

RubyKaigi 2017 とイベント運営

Rubyist Magazine 第 55 号をお届けする。

今号は、 機械学習に Ruby を使うための課題と、その解決策として開発されている PyCall を紹介する 、 「RubyKaigi 2016 託児室運営記録」の紹介記事としての 、 さらにイベントレポートとして という構成となった。


先日、RubyKaigi 2017 の開催が正式にアナウンスされた。

今年の RubyKaigi は 9 月 18 日から 20 日までの 3 日間、広島国際会議場で開催されることとなった。 前回の京都に引き続き、関東圏以外での開催になる。

これについて少し説明しておくと、別に東京・関東圏で開催したくないとか、それ以外の土地で開催したいという意見は特に出ていない。 単純に会場をおさえる日程と金額的な問題によるものである。

ここのところの RubyKaigi は、1,000 人規模の大きなホールが一つ、数百人規模のホールが一つ、懇親会・昼食用の場所とさらにいくつかの部屋を使っている。また直接利用する部屋以外でも、ホワイエにある程度の広さがあり、ホールや部屋から入退室する際にも混雑するのを防ぎ、ゆっくりと会話できるようにしたいとの考えもある。このような規模の会場候補は、数だけ言えば東京近辺にも多々あるようだが、いかんせん価格が高かったり、一年以上前から予約が埋まっていたりする。また、公共系の施設は、公共のイベントや地域のイベントが優先されて、そうではないイベントで利用するための条件が高いこともある。 今回は準備が遅かったこともあり (RubyKaigi 2016 開催後に予定変更があったため)、東京での開催は難しい状況になったため、関東に限らず会場を探してみた。

その結果、東京圏の外であれば比較的条件のよい会場が、日程が近くなってもまだ見つかるようだった。コストも東京に比べると驚くほど会場費が安いこともある (そうでもない場合もある。昨年使わせていただいた京都国際会館は立派な会場だっただけあって、コストもそれなりにかかった)。Organizer Team は Chief Organizer の松田さんをはじめ東京圏に住んでいる人が多いため、距離によって発生するコストもあるが、それを補ってあまりあるほどだった。

一方で、東京圏以外での開催にあたって、開催場所に近い地域コミュニティとの連携についてはあまり進んでいない。 理想的には RubyKaigi に継続して関わってきたチームのメンバーと、開催地に詳しい地元のメンバーとでうまく連携ができればよいのだが、前回の京都での開催経験からするとあまり容易ではない。最近では企業でもリモートワークが流行っているところもあるが、そこでよく見られるような問題に似た問題は、RubyKaigi のようなイベント開催においても現れてしまうように思う。それでも昨年の経験を活かして、もう少しうまくいくよう、お互いにフォローしあえるように進めたい。

もう一つ、今回の RubyKaigi で初めて取り組もうとしている新しい試みがある。開催にあたり、イベント会社に運営の一部をお願いしようとしている。

これまでの RubyKaigi では、運営はすべてボランティアによるものだった。電源周りやネットワークやデザイン等、個別のタスクについては発注を行い、仕事として行っていただいたことがあっても、全体に関わる部分については企業にお願いすることはなかった。もともと日本 Ruby の会は非営利型の法人であり、RubyKaigi の Organizer Team も組織体としては任意団体でしかなく、営利を目的としているわけではない。あまり精度の高くない収支予測でも赤字にならないようにしつつ、個人で賄える部分については無償での負担でやってきたため、営利企業の作業と対価のバランスとは整合性がとりづらい。とはいえ、規模が大きくなるにつれ、個人が無理なく負担できる作業量を超えるタスクも生まれている。

これは RubyKaigi に限ったことではなく、ある程度以上の規模になったイベントでも負担になっていると聞いている。先日も、ScalaMatsuri の運営をされている方のブログで、ScalaMatsuri 運営の母体となっている一般社団法人 Japan Scala Association で事務職について従業員を雇用した、というエントリがあった。

RubyKaigi というか Ruby の会でも、雇用や事務職の業務委託の実施を検討したことはあった。しかし適任者がいなさそうだったことに加え、適切な給与を決めるのも難しく、また作業の量が増減した場合、それに合わせて人や時間 (と給与や発注額) を安易に増やしたり減らしたりすることが難しいこともあり、今回は見送った。

とはいえ、前述の通り事務作業の増加は無視できないものとなりつつある。また、誰にでもお願いできる作業ではないというのと、平日の昼に作業が発生することも困難な理由になっていた。 RubyKaigi 自体はたまたまできる人が時間がとれた時にしか行えないものではなく、持続可能な形にしたい、というのは強い要望としてある。そんなこともあり、今回はイベント運営のプロフェッショナルにお願いしてみることとなった。

もっとも、プロが入ればこちらが理想と考えるイベントが簡単に実現できるようになる、ということはさすがに期待できないだろう。運用はイベントごとに異なるし、こちらでお願いしたい内容もあれば、お願いせずに Organizer Team の方で対応したい内容もある。 そのような条件のすり合わせを行いながら、費用や作業分担について決定しているわけではないため、どうなるか分からない。ほぼ決まりかけていても変更になってしまう可能性もないわけではない (上でも少し触れたが、そもそも RubyKaigi 2017 はまったく異なる場所と日程で行う計画だったが、RubyKaigi 2016 での反応を見て、急遽予定を変更することとなったのだった)。そんな不確定な状態であるのに加え、一般の参加者からは見えにくいところではあると思うが、だからこそというのもあり少しこの場で書いてみた。

いずれにしても、近日中にスピーカーの募集やスポンサーの募集を行う予定になっているし、それに続いて一般参加者の募集も行う予定である。多くの方が参加し、それぞれに満足が得られるイベントを目指したい。

(るびま編集長 高橋征義)