Rubyist Magazine 十周年

著者: 郡司啓 (@gunjisatoshi)

はじめに

おかげさまで、Rubyist Magazine は 10 周年を迎えました。そこで、今年 1 年間、およびこれまでのるびまについてまとめ、今後について考えてみたいと思います。

今年一年を振り返って

今年一年を振り返ってみると、10 年目という記念すべき年ではあるのですが、リリース回数は控えめな 4 回となっています。

昨年は号外を含めて 6 回のリリースでしたので、昨年と比較しても今年はリリース回数が減っていることが分かります。要因としてはいくつか考えられますが、やはり昨年は「RubyKaigi 2013」が開催されたことが大きいでしょう。大きなイベントがあるとイベントにて発表された内容を発表者の方に記事として投稿いただく「イベント効果」が期待できますが、今年 1 年間に関しては RubyKaigi の開催がなく、それがリリース回数にも反映されているとも言えるでしょう。イベントを行うのも色々と大変だとは思いますが、やはり「定期的にイベントが開催されている」ということは大事ですね。折しも今月は RubyKaigi 2014 が開催されますので、発表者の方々はぜひ発表内容を記事としてまとめ直して Rubyist Magazine へ投稿されてはいかがでしょうか。

それでは、10 年目の記事を見てみましょう。 まずは高橋編集長による巻頭言ですが、今年も継続して毎号掲載されています。連載という観点では創刊号から 10 年間毎号継続している唯一のコンテンツとなります。すごいですね。 内容は、Ruby の公式ドキュメントサイトである www.ruby-lang.org への貢献のしかた、先日惜しくも亡くなられた Ruby の DSL を用いたビルドツールである Rake の作者として有名な Jim Weirich 氏への弔辞、みんな大好きオープンソースを支えるソーシャルコーディングサービス GitHub がそれ自身クローズドなソフトウェアであることへの問題提起、そして一般社団法人日本 Ruby の会の年次活動報告など、実に様々な話題に触れられています。

Rubyist Magazine 常設記事の「Ruby の歩き方」ですが、昨年大幅にリニューアルした後は若干の修正を加える程度で現状維持となっています。こうした記事は内容がすぐに古くなってしまうために継続した修正が必要となりますので、何かお気付きの点がありましたら Rubyist Magazine 編集部までご連絡いただくか、GitHub に公開されているドキュメントに対して Pull Request いただければと思います。

インタビュー記事については、連載の Rubyist Hotlinks としては昨年に掲載された前編に続く大場さん夫妻へのインタビュー後編、および Rubyist Hotlinks とは別の特別企画として Ruby と Linux カーネルのデュアルコミッタとして有名な小崎資広さんへのインタビュー前編が掲載されました。 そして毎年同じようなことを書いているような気がするのですが、やはりインタビュー後のテープ起こしが非常に大変で、インタビュー収録から記事として公開するまでにかなり間があいてしまう問題は未解消のままです。なんとか楽にする方法はないですかねえ。いっそのこと Podcast として音声ファイルをそのまま公開してしまってはどうか、という話も議論されていたりしますが、何かいい案がありましたらぜひ Rubyist Magazine 編集部までご提案いただけたらと思います。

つづいて連載ものについてですが、今年についてはほとんどの連載の続きが掲載されない中、昨年に続いて Ruby 1.9 以降の Ruby VM 作者であるささださんによる Ruby の中身を解説する連載記事「YARV Maniacs」が掲載されました。ささださんは RubyKaigi 2014 のキーノートスピーカーでもあり、お忙しい中投稿いただきありがとうございました。Ruby が普及するにつれ「Ruby を使う」話題は増えましたが、「Ruby がどういう仕組みでできているか」に関する情報はあまり増えていないのが実情です。開発者自身による日本語で読める情報は貴重ですので、今後も継続して掲載されると嬉しいなあと思っています。

そして今年も掲載が続いている「Regional RubyKaigi レポート」は、4 つの記事を投稿いただきました。昨年は 11 もレポートが投稿されたのに比較すると少し寂しい気もしますが、それでも北は札幌から南は沖縄まで開催されていますし、関西やとちぎは 5 回目を数えています。こうしてイベントを継続していくのも色々と大変だと思いますが、是非とも今後とも続いて行って欲しいなあと思います。またきちんと開催レポートを投稿いただける各地域の Regional RubyKaigi スタッフの皆様には大変感謝しております。遠くで開催されて行けなかった地域 Ruby 会議の雰囲気を感じることができるので、今後も地域 Ruby 会議が開催された際にはレポート投稿の継続をお願いいたします (と他人事のように書いていますが、私も「大江戸 Ruby 会議 04」のレポートがまだ書けていなかったりします。すみません)。

そして今年も各種カンファレンスレポートを投稿いただけました。昨年の 9 つと比較すると少し寂しいですが、それでも国内 1 つ、海外 3 つのカンファレンスレポートと充実しています。

こうして国内・海外で多数の Ruby 関連カンファレンスが開催されていますので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください。地域 Ruby 会議の開催予定は「地域Ruby会議のサイト」や「RubyKaigi 日記」、「これから開催される地域Ruby会議」といったサイトを、海外の Ruby カンファレンスの開催予定は Lanyrd の Ruby conferences and events などのサイトをチェックしてみてください。

個別記事は次のとおりです。

Vagrant や Puppet といった DevOps の記事、Backbone.js と Rails の組み合わせや権限管理ライブラリ Pundit の紹介といった Web アプリケーション開発に使われる生々しい話、RubyGems パッケージの公開の話、特異クラスとメタクラスのような Ruby の仕組みに関わる話、そしてソースコード検索エンジン Milkode や 8-bit 風ゲームを開発するためのフレームワーク burn についてはそれぞれの作者ご本人から記事を投稿いただいたりと、実にバラエティに富んだ内容の記事を寄稿いただけて嬉しく思います。いま現在 Ruby がどのようにして活用されているかが一望できるということもあり、ご自身が仕事で Ruby を活用されていたり、Ruby を使ったライブラリを開発したりといったことを日常的にされているかたは、ぜひご自身のアピールを兼ねて Rubyist Magazine に投稿してみてください。

また「アンダースタンディング コンピュテーション」という「コンピューターがなぜ動くのか」を Ruby を使って解説する書籍の書籍紹介記事がありました。

実は私も似たような内容を書こうとしつつ続きを書かずに止まっている「式と文、評価と実行、そして副作用 ―― プログラムはいかにして動くのか【前編】」なんて記事を書いたことがあったのですが、もう続きはこの本を読んでいただくということでいいですかねえ (執筆できてなくてすみません)。

そして上記「アンダースタンディング コンピュテーション」と、以前も「0026 号 読者プレゼント」にて第一版を読者プレゼントとしてご提供いただいた「Ruby で作る奇妙なプログラミング言語」の第二版をプレゼントとしてご提供いただきました。ありがとうございます。

最後に昨年から始まった企画、アクセスランキングの記事です。ランキングもなかなか興味深くて「へえ、世の中ではこういう記事が興味を持たれているんだなあ」ということを感じていただけるかと思いますので、まだ見たことのない方はぜひ参照してみてください。

10 年間で 48 号ということで、平均 4.8 回リリース/年(去年は 4.889 回リリース/年)。特別号や号外、エイプリルフールを入れると 55 回リリースなので、5.5 回リリース/年。記事数は特別号を入れて 630 記事で、63 記事/年ということになります。

今後

各記事のふりかえりは以上です。記事以外の話題として編集体制がありますが、基本的には昨年に刷新された新しい編集プロセスにて編集が行われています。何か作業を行う際には GitHub に Issue を起こすことで作業状況の見通しを良くしよう、という目論見はおおむね上手くいっているかと思いますが、明確な担当者を決めていないと放置気味になってしまうこともあり、定期的に Issue 全体を棚卸するようなプロセスが必要かなあと考えています。

そしていくつかの定期的な作業についても「この人じゃないとできない」という作業が存在していて、このあたりはドキュメント化するなりして誰でもできるようにしないといけないですね。その「誰でもできるようにする」のもなかなか大変なので難しくはあるのですが。

またアクティブなメンバーの数が増えない「万年編集者不足」の状況も続いていて、解決されずに放置されてしまう Issue が溜まってしまう一因にもなっているかと思います。このあたりは個人の頑張りに期待するのではなく、コンテンツまで全部 GitHub に移行してしまうなどして、もっと多くの人がカジュアルに編集に参加できるようにするといいんですかねえ。なにか良い解決策をご提案いただける方は、ぜひ Rubyist Magazine 編集部までご連絡ください。

そんな感じでせっかくの 10 周年というおめでたい号ではあるのですが、今後もちゃんと続けていけるのかなあ、という点についてはちょっと不安を感じています。個人的には「続いて欲しい」という思いはあるのですが、どうしたら良いのかはノーアイデアです。どうしたらいいですかねえ。でも続いて欲しいなあ。

おわりに

るびまは 10 周年を迎えました。ありがたいことです。10 年継続する、というのはすごいことですね。今後どこまで続けられるのかは分かりませんが、続けていけるといいですね。

というわけで、こんなるびまに、記事書いてみませんか? もしくは、編集者になって、記事を編集してみませんか?

著者について

郡司啓 (@gunjisatoshi)

Rubyist Magazine 編集者のひとり。最近は本業のほうが若干忙しく、実は今年はあんまり編集にも関われていなかったりします (すいません)。